ギターを始めてしばらく経つと、楽器店で新しいギターが欲しくなるのは「ギタリストの性」です。
でも、「1本あれば十分じゃないか?」と自問自答してブレーキをかけてしまう人も多いはず。
この記事では、ギターを複数持つことが単なる贅沢ではない理由と、後悔しない買い足しのタイミングを整理しました。
自分にぴったりの2本目を選ぶコツを掴めば、日々の練習はもっと楽しく、演奏の幅も確実に広がります。
ギターの2本目はいらないと言われる主な理由
ギターを1本持っていれば、とりあえず音楽は成立します。
お金もかかるし、部屋が狭くなるし、1本を極めたほうが上達するのでは?と悩むのは当然です。
ここでは、あえて「2本目は必要ない」という意見を整理して、今の自分に当てはまるか考えてみましょう。
冷静にデメリットを知ることで、逆に「自分には2本目が必要だ」という確信に変わるかもしれません。
1本を使い倒した方が指に馴染む
毎日同じネックを握ることで、指がフレットの間隔を完全に覚えます。
1本を使い倒すメリットは、無意識でも弾ける「体の一部」のような感覚になれることです。
違うギターに持ち替えると、数ミリの厚みの差でミスが増えることもあります。
一つの楽器と向き合い続けることは、安定した演奏フォームを作る近道になります。
弦代やメンテナンスの手間が倍になる
ギターが2本になれば、当然ながらかかる維持費も2倍になります。
1セット800円から1500円ほどする弦を、両方のギターで定期的に張り替えなければなりません。
また、湿度の変化でネックが反った時の調整も2台分必要です。
弾かない時間が長いと逆に状態が悪くなるため、管理の手間は確実に増えてしまいます。
置き場所の確保に困る
ギターは意外と場所を取る楽器で、ケースに入れたままにすると練習が遠のきます。
スタンドに立てて並べると、部屋のスペースが圧迫されるのは避けられません。
特に一人暮らしの部屋などでは、1本増えるだけで生活動線が狭くなることもあります。
物理的なスペースと、自分の練習頻度のバランスを考えることが大切です。
それでも2本目を持つべき具体的なメリット
デメリットがある一方で、2本目のギターはあなたの音楽生活を劇的に快適にします。
プロのギタリストが何本もギターを所有するのは、単なるコレクション欲だけではありません。
それぞれのギターに役割を持たせることで、演奏のトラブルを防ぎ、表現の幅を広げているのです。
ここでは、複数所持がもたらす「実利的なメリット」を3つ紹介します。
故障や弦切れトラブル時の予備になる
ライブの最中や、スタジオ練習の直前に弦が切れてしまったら、そこで演奏は止まってしまいます。
もし2本目があれば、持ち替えるだけで即座に練習や本番を再開できます。
ジャックの接触不良や電気系統のトラブルは、ある日突然やってきます。
「予備がある」という安心感は、ギタリストのメンタルを強く支えてくれます。
音色の違いで演奏できるジャンルが増える
シングルコイルのストラトと、ハムバッカーのレスポールでは、出せる音の太さが全く違います。
繊細なカッティングをしたい時と、激しく歪ませたい時でギターを使い分けられるのは大きな強みです。
1本では無理やりエフェクターで似せていた音が、ギターを変えるだけで本物のサウンドになります。
弾けるジャンルが広がることで、バンドに誘われる機会も増えるはずです。
チューニングを固定して練習効率を上げる
半音下げチューニングや、ドロップDなどの特殊な設定を曲ごとに変えるのは非常に手間です。
1本をレギュラー、もう1本を特殊チューニング専用にすれば、持ち替えるだけで練習が始められます。
特にフローティング設定のトレモロ付きギターは、チューニングを変えるのが大変です。
練習のたびにチューニングに時間を取られないことは、上達スピードに直結します。
失敗しない2本目を買うタイミングの目安
「いつ買えばいいのか」という問いに、明確な決まりはありません。
しかし、練習を続けていると「今がその時だ」と感じるシグナルが必ず出てきます。
そのシグナルを無視して1本で粘り続けると、逆に上達が止まってしまうこともあります。
後悔しないための「買い時」の目安を、具体的な場面ごとに解説します。
1本目のギターに弾きにくさを感じた時
「手が小さくてネックが太く感じる」といった、物理的な不満が出てきた時が最初のチャンスです。
初心者セットのギターから、10万円前後の少し良いモデルに変えるだけで、驚くほど弾きやすくなることがあります。
技術のせいだと思っていたミスが、実はギターの精度のせいだったというケースは少なくありません。
自分の今のレベルに対して、楽器の性能が追いつかなくなった時が最高の買い時です。
人前で演奏する予定が決まった時
文化祭やライブハウスでの演奏が決まったら、サブギターの準備を検討すべきです。
本番でのトラブルは、どれだけ気をつけていても防げないことが多々あります。
万が一の事態でステージを台無しにしないために、2本目を用意するのは大人のマナーでもあります。
モチベーションを上げるためにも、ライブ前に新しい相棒を迎えるのは理にかなっています。
特定のアーティストの音を出したくなった時
憧れのギタリストが使っているモデルが欲しくなったら、それはもう十分な理由です。
その人と同じ形のギターを抱えるだけで、練習に向かう足取りは軽くなります。
「あの音が出ないから楽しくない」と悩むくらいなら、思い切って手に入れてしまいましょう。
ワクワクする気持ちは、どんな教則本よりもあなたを成長させてくれます。
2本目のギターを選ぶ際の外せないポイント
2本目を選ぶ時に最も避けるべきは、「1本目と似たようなギター」を買ってしまうことです。
もちろん同じモデルを予備に持つ考えもありますが、まずは「違う個性」を取り入れましょう。
以下のテーブルで、ピックアップ(マイク)による音の違いを整理しました。
自分の持っているギターと対照的なものを選ぶのが、失敗しないコツです。
| 項目 | シングルコイル(ストラト系等) | ハムバッカー(レスポール系等) |
| 音の傾向 | 繊細でキラキラしている | 太くてパワフル |
| 得意なジャンル | ポップス、カッティング、ファンク | ロック、ハードロック、メタル |
| ノイズ | 少し乗りやすい | ノイズに強い |
今持っているモデルと違う構造を選ぶ
もし1本目がストラトなら、2本目はレスポールやセミアコなどの「太い音」が出るタイプがおすすめ。
構造が違うギターを持つことで、音作りの幅が2倍以上になります。
スケール(弦の長さ)が違うモデルを選ぶのも、手の感覚を養うのに役立ちます。
違う種類のギターに触れることで、1本目の良さを再発見することもあります。
予算を少し上げてワンランク上の質を狙う
2本目は、1本目よりも予算を3万円から5万円ほどプラスした価格帯を狙ってみてください。
10万円前後のギターは、木材やパーツの質がぐっと上がり、弾き心地が別次元になります。
長く使い続けられる「本物の一本」を持つことで、楽器への愛着もより深まります。
安物を2本持つより、しっかりした1本を買い足す方が、資産価値としても有利です。
実際に楽器店で構えた時のフィット感を重視する
スペックだけで判断せず、必ず楽器店で椅子に座って、あるいはストラップで下げて構えてみましょう。
ボディの形状や重さは、写真で見ているだけでは分からない違和感を生むことがあります。
自分の体に馴染まないギターは、次第に触らなくなってしまうものです。
「これを抱えてステージに立ちたい」と直感で思えるかどうかが、最後の決め手になります。
複数所持で練習の質が上がる意外な効果
ギターが2本あると、実はメンタル面でも良い影響があります。
練習は単調になりがちですが、楽器を変えるだけで新鮮な気持ちで弦に触れられるからです。
また、物理的な感触の違いが、脳や指の筋肉に新しい刺激を与えてくれます。
複数持つことが、どのように上達をサポートするのかを深掘りします。
気分転換で練習時間を長く確保できる
「今日はやる気が出ないな」という時でも、違うギターを手に取ると気分が変わります。
音色が変わるだけで、弾き慣れた練習曲も新しい曲のように聞こえるからです。
1本では15分で飽きていた練習が、ギターを変えることで30分、1時間に伸びることもあります。
練習時間を無理なく増やすための「装置」として、2本目は非常に有効です。
違うネックの太さに触れると指が器用になる
太いネックと細いネックを交互に弾くことで、指の柔軟性が養われます。
一つの形に固執せず、どんな状況でも対応できる「柔軟な手」が作られていきます。
最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてくればどんなギターでもすぐに弾きこなせるようになります。
この適応能力は、将来的に他の人のギターを借りて弾く場面などでも役立ちます。
ギターの仕組みをより深く理解できる
2つの異なる構造を比べることで、ブリッジの仕組みや配線の違いが自然と頭に入ります。
「なぜこのギターはこんな音がするのか」という知識が、実感を伴って身につきます。
楽器の構造に詳しくなると、トラブルが起きた時も自分で対処しやすくなります。
ギターを単なる道具ではなく、一つの精密機械として理解するきっかけになります。
2本目を手に入れた後に必要になる準備
新しいギターを迎えるなら、受け入れ態勢もしっかり整えておきましょう。
準備不足だと、せっかくの2本目が部屋の隅で邪魔者扱いされてしまうかもしれません。
複数所持を快適にするためには、収納や消耗品の管理をシステム化するのがコツです。
具体的に準備しておくべき環境整備について解説します。
ギタースタンドを複数用か壁掛けに変える
1本用のスタンドが2つ並ぶと意外と場所を取るので、2本〜3本掛けのマルチスタンドが便利です。
3000円から5000円ほどで買えるマルチスタンドなら、省スペースでスッキリ収納できます。
壁に余裕があるなら、ギターハンガーを使った壁掛け収納もおすすめです。
すぐに手に取れる場所にギターがある環境が、練習の頻度を維持してくれます。
弦やクリーナーをストックする量を増やす
弦の消費スピードが上がるため、3セットパックなどのまとめ買いを常備しておきましょう。
いざ弾こうとした時に弦が錆びていると、それだけでやる気が削がれてしまいます。
ポリッシュやクロスなどのケア用品も、常に切らさないようにストックしておくと安心です。
消耗品の管理をしっかり行うことが、2本のギターを長持ちさせる秘訣です。
どちらをメインで使うか明確に決める
「どっちつかず」になるのを防ぐため、メインとサブの役割を自分の中で決めましょう。
例えば、毎日の基礎練習は弾きやすい1本目、曲の仕上げは理想の音が出る2本目、といった具合です。
役割が決まっていると、練習のメニューに合わせて自然とギターを選べるようになります。
それぞれのギターの「得意分野」を活かしてあげるのが、持ち主の役割です。
予算別!2本目におすすめの具体的モデル
いざ2本目を買おうと思っても、選択肢が多すぎて迷ってしまいますよね。
ここでは、価格帯と目的に合わせた具体的なブランドを紹介します。
自分がどのステップにいるのかを考えながら、理想の1本を絞り込んでみてください。
2本目は「失敗したくない」という気持ちが強い分、信頼できる定番ブランドから選ぶのが安全です。
コスパ重視ならスクワイヤーやエピフォン
5万円から8万円ほどの予算なら、フェンダー傘下のスクワイヤーや、ギブソン傘下のエピフォンが鉄板。
本家の設計思想を継承しつつ、コストを抑えて高品質なギターを提供しています。
特に最近の「Classic Vibe」シリーズなどは、プロが予備として使うこともあるほどのクオリティです。
手軽に本格的なルックスと音色を手に入れたい初心者には、最も現実的な選択肢です。
本格派を狙うならフェンダーやギブソンの定番
15万円から25万円ほどの予算が出せるなら、いよいよ本家のモデルが視野に入ります。
フェンダー・ジャパン(現在はフェンダー・メイド・イン・ジャパン)や、USA製の入門モデルなどです。
このクラスになると、木材の質や組み込みの精度が格段に上がり、一生モノの相棒になります。
資産価値も落ちにくいため、もし将来手放すことになっても良い値段で売れるメリットがあります。
万能さを求めるならPRSやアイバニーズ
特定のジャンルに縛られず、何でも弾ける1本が欲しいならPRS(ポール・リード・スミス)がおすすめ。
シングルとハムの中間のような絶妙な音色で、どんな曲にも馴染んでくれます。
テクニカルな演奏をしたいなら、ネックが薄くて弾きやすいアイバニーズも強力な候補。
自分のプレイスタイルが固まってきた中級者こそ、こうした機能的なブランドが刺さるはずです。
まとめ:2本目のギターは上達を加速させる投資になる
ギターの2本目は、決して贅沢品ではなく、あなたの演奏を支える強力なインフラです。
1本ではできなかったことが、2本目を持つことであっさり解決することも少なくありません。
- トラブル時の予備として、ライブや練習の安心感を確保できる
- シングルとハムなど、構造の違うモデルを選んで音の幅を広げる
- チューニングを固定して、練習までの準備時間を大幅に短縮する
- 1本目で感じた弾きにくさを解消し、上達のブレーキを外す
- 10万円前後のワンランク上のモデルを選んで、一生モノを手に入れる
- マルチスタンドを導入して、省スペースで管理しやすい環境を作る
- 違うネックに触れることで、指の柔軟性と適応能力を高める
迷っているなら、まずは楽器店へ足を運び、気になるギターを10分だけ試奏してみてください。
その1本が、あなたのギターライフをこれまで以上に楽しく、充実したものに変えてくれるはずですよ。
